【秋の木枯らしー11】


草木も眠る
漆黒の深夜…







治りかけていた千里の
体に
突然高熱が襲った。







体温が上昇した千里は
その苦しさのあまり
うなされていた。








「助けて………
朋樹…」







無意識に呼ぶのは、
今の彼氏の
神谷の名ではなく、
朋樹の名であった。






「………」






その苦しんでいる千里の
近くで、
タオルを絞っている影が
あった。







意識が朦朧としている
千里は気付いていない…







何度も、何度も
朋樹の名を呼び
その影は悲しい目で
見つめていた。







そうして
最後にギュッと千里の
手を握ると、
そのまま影は部屋を
後にした