【秋の木枯らしー2】


難病と言っても
決して人に移る事はない
朋樹の病気。








周りに迷惑が掛からない
点についてだけは、
救われた部分である。







なので、
こうして一般人の様に
外出も出来るわけだが、

あまり
遠くに行くわけには
いかないので、

最近はよく
病院近くのこの店を
利用している。







街の裏通りに
ポツンとある小物店。







特に買うわけではないが

細かな作りの品物を
何度も観覧している。






芸術性の高い小物は、
見ていても
決して飽きることはなく

朋樹は心を奪われていた







(こんな細かな作り、
他では
見たことないな~)





朋樹がそう思うのも
無理はない。

鮮やかな色合いに
バランスよく
作り上げられた商品は
まさに神業である。





実はここ、
朋樹は知らないが
雑誌でも取り上げられる
くらいの評価の高い
店であり、

今日のような平日でも
ポツポツと客はいる。







土日には
一度も来たことはないが

これまた
たくさんの人達が
押し詰めるような
名店である。







やはり、
死ぬ間際と言うものは

たくさんの風景や
たくさんの芸術作品が
見たくなるものである。






そして
見とれること30分、
すっかり満足した朋樹は
店を後にした。







外に出れば
この身にはこたえる寒さ






秋の紅葉を楽しみつつ、
落ち葉の道を歩いていた







…自分の
後ろをつける
影があるのも
気付かずに…