【いつか終わる夢ー12】


………







高熱が出てから5日目。


ようやく、
いつもの調子を取り戻し

千里は、すっかり元気
になった。







「ありがとね朋樹!
私すっかり治ったよ!」







と…千里は
力こぶを作って見せた。








「良かったよ。
結局一度も病院行かずに
済んだな」








朋樹も喜びの色を
隠せないでいた。


ここ数日、
毎日看病に通いつめた
甲斐が
あったというものだ。







「じゃあ、
俺、今日はもう帰るよ。
また今度な」







これから朋樹は
友達と遊ぶ約束を
しているので、
早めに帰ることにした。








「うん、
気をつけてね」







2人は抱きしめ合うと、
お互いの温もりを
感じ合った。










「それじゃあな」








「うん、バイバイ」







……?







一瞬だが
千里の姿が霞んで見えた







気のせいだと思い、
朋樹はアパートを
後にした。








でも、何故だろう…

もう、
こうして会うことが
出来なくなるように
感じるのは…









きっと、
別れが寂しくて
そう思うだけであろう。








毎日当たり前にある
幸せだから、
なくなるハズもない



気にせず、
朋樹はそのまま駅へと
向かった