【幻ー5】


それを聞いた千里は
医者に食いついた。






「どういうこと
ですか!?
倒れたって!」







その勢いに押され、
少々困惑気味だ。







「ちょ、落ち着いて

個人情報だから
あまり詳しく言えない
けど、

彼は重病な病気に
侵されて、
ここじゃ治療できない
から、
隣町にある
都内の総合病院に
移ったよ」







すると千里はハッとして
入院証を出した。








「こ…これ……」







「ああ、それは隣町の
病院の入院証じゃないか

そう、
そこに彼は移ったよ」







「隣町の総合病院ですね

ありがとうございます!」







千里は深々と礼をすると

急いで病院を出た。







「タクシー!」







思わずそう叫び、
タクシーに飛び乗った。







「どちらまで?」







「隣町の総合病院まで
お願いします!」







その慌てぶりから
運転手も何か感じ、
車は急速に発進した