【最期の日々ー5】


ガラ!







朋樹の病室に
勢いよく誰か入ってきた







それは………



お母さんお父さん。






「朋樹!」







両親はそう叫び、
朋樹の両手をしっかり
握る。







しかし…







ピーーー








無情にも流れる
心音停止音…







朋樹は両親の前で、
見守れられながら
天国へ旅立った。







「朋樹ぃ!」








涙を流す母。


すると何かに気付いた
父が
母に声をかける。







「おい、
母さん見てみろ」





フルフルと震える
父の手。







その指先は
朋樹の顔を指していた







そう…

朋樹の死に顔は

まるで幸せいっぱいに
満面の笑みを浮かべて
いた…







こんな幸せそうな顔は
見たことないくらいに…








「朋樹……」








その手には
壊れたペンダントを
キュっと握っている。







きっと、
朋樹は千里を感じながら

あの世に旅立つことが
できただろう…







そう…


いつまでも…

いつまでも…



千里を感じながら……