――…… 校舎に入り、階段を一段一段上る。 俺の前を歩く伊上のふわふわの髪の毛が視界に入り、こんな時に最低だと思うけれど、胸が熱を持ちかき乱される。 そんな自分を振り払って、視線を階段に落とした。 ……十年。 十年ぶりに、俺はアイツと会う。 ―変わってきている いつか、ドアの向こうで聞いた声が、心の中に響く。 開いていた手をぎゅっと握り、俺は前を向いた。