「おはよう」 振り返った梓は、眩しい程の笑顔で。 俺の胸をドキリとさせる。 その顔は反則だ。 退場だ。レッドカードだ。 鉛のような足を無理矢理前に進め、立ち止まる2人にゆっくりと近づく。 結局4人で登校するハメになった。 俺は特に話しもせず、真っ青な空を眺めながら歩く。 なるべく話は聞きたくない。 自由に動く2本の手で、今すぐこの耳を塞いでしまいたい。 それなのに、どうしてだろう。聞きたくない話は俺の耳を通過してくれない。