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「……先程は失礼
しました、アリス。」
ビクッ
思わず体が強張る 。
正直、
さっきの出来事が
忘れられない。
だからといって
帽子屋さんのことを
嫌いになった訳でもない。
「大丈夫ですよ。」
にこっと笑いかける。
すると帽子屋さんは
ほっとした
表情を浮かべ、
微笑んでくれた。
微笑み返し!!素敵!!
なんて呑気に
考えていると、
帽子屋さんは
神妙な口振りで
話始めた。
「アリスは、
黒兎を助けるために、
連れてこられた
のですよね…?」
そういえばそうだった。
忘れてた、という
顔をしていたのだろう。
チェシャ猫に物凄い顔で
睨まれてしまった。
「その黒兎の正体、
アリスはご存知ですか?」
正体??
「いや、知らないけど…」
思わず敬語を忘れる。
ああ、しまった。
しかし帽子屋さんは
そんなこと気にも
止めていなかった。
「では、どうして
黒兎が城に
捕まっているのか
お話しましょう。」

