【 私 の ア リ ス 】
確かに帽子屋さんはそう、いった。
「帽子屋さん…?
本当にどうしちゃったの?
ねえ……?」
体が無意識のうちに小刻みに震える。
シロウサギさんに感じたあの感覚。
帽子屋さんが 怖い 。
自然と瞳が潤む。
「…………。
アリス。
そのような顔を私以外の前では決してしないで下さい。
あなたのその悩ましい姿…
知るのは私 だ け で
いいのです。」
帽子屋さんは私を優しく抱き締め、宥めるように優しく囁く。
「さあ ア リ ス ?
薔薇に 私に
ア イ を 誓って … 。」
耳元で囁かれる甘い言葉。
かかる吐息はまるで蜜のように
私に絡みついて離れない。
「さあ、アリス。」
耳から首へ唇を落とす。
胸元の紐に手をかけた瞬間
バタン!!!
凄まじい勢いで扉が開かれ、
帽子屋さんは動きを止め、入り口に立つ人物をただ睨み付けていた。

