ふわっと薔薇のいい香りがする。
帽子屋さんの香り。
そして口の中には
普段感じたことのない
生暖かい感触の何か。
「んぁっ………!?」
「こうしてほしかったのでしょう?」
妖艶な笑みを浮かべ帽子屋さんは私を見下ろしていた。
「ぼ、帽子屋さん…?
なんで…ッッ」
だって前会ったときの帽子屋さんはとても紳士で…
こんなことをしてくるようには見えなかった。
「 な ん で ??
私だってこの国の住人です。
アリスをアイシテいるにきまっているじゃないですか。」
そういう帽子屋さんの顔は
いつもの笑顔は一切なく
獲物を狙っているようにしか見えなかった。

