時が止まった。
そう告げる黒兎さんはとても満足気だった。
「ありすはありすのまま。僕は僕のまま。何も変わらずこのまま、ずっと。成長せずに、今の姿のまま、ね。」
笑顔が、歪む。
「もうこれで 逃げられない。」
怖い、じゃなくて
逃げなくちゃ、でもなくて
私、きっとこの人からは離れられないんだ。と感じた。
「……私は、何が望みなのよ。」
チェシャ猫でもない
黒兎さんでもない
帽子屋さんでも 双子でもなくて
けれど誰かに愛されたくて
愛していたくて
私は何故、何が、…───
「ありすの望みはアリスになること。けれどそれはもう叶ってしまった。
人は欲を持たずに生きてゆけない種族。
一つの望みが叶えば、次々に欲は出てくる。
これといった欲が無いのに何を望んでいるのか 何が欲しいのかを考える。
私の望み?ありすの望みはすでに叶っているんだよ。なら、もう何も望まずに思うように生きたらいいじゃないか。
僕と共に、ただ、生きていれば。」

