カチ カチ
時は流れてゆく。
「ありす。時間なんて必要無いよ。僕がこの国を止めてあげる。」
針に指が触れると、簡単に時計は時を刻むのを止める。
けれど、周りに変化は一切なかった。
「……何も、変わってない…けど…?」
秒針の音が聞こえなくなっただけだった。
風も 波の音も 草木のざわめく音も
止まることなく耳に届く。
「この国の時が止まっただけだ。僕らの時が少し前で止まっただけ。
芽を出そうとしていた種は種のまま
散りゆくはずだった花は花のまま
明日生まれるはずだった子馬は生まれぬまま
時は止まってしまったんだよ。
針が動き出さない限り、永遠に。」

