「……ズル?」
「そうだよ。まんまと嵌められたよ。ありすが猫を選ぶ確率なんて0に近かったはずなのに。選ぶように仕向けた。」
頭に浮かぶあのときの光景。
確かに見えた猫のシルエット。
「でも安心して。あの裁判は不当なものだと判断されたんだ。正当に、やり直すことになったんだよ。」
にこにこと笑顔を崩さず、私に手を差し伸べる黒兎さん
何か、企みがあるとしか思えなかった。
「何が望みなの?私は貴方を選ぶつもりはないわ。たとえ裁判をやり直したとしても、私は貴方を選ばない。」
断言できる。
黒兎さんは、簡単に命を奪う
そんな人のことを愛するなんて
「じゃあ誰を選ぶの?」
表情を変えず、貼り付けた笑顔で彼は言う
「……わからない。」
私はこの国の人たちをまだ思い出せない
それに、この国にいたときも選べなかったからきっとこうなってしまったはず
「……こんなゲーム、無くなってしまえばいいのに。」
何気なく発した言葉
「消しちゃう?こんなゲーム、無くしちゃおっか。」
満面の笑顔の彼の手には、金色に輝く懐中時計が握られていた。

