「───会いたくなかった。」
思わず口から溢れた言葉。
「ありすはアマノジャクだね。」
笑顔を絶やさず、私を「ありす」と呼ぶ。
「会いたくなかったわ。」
漆黒の髪は風に靡き、真っ赤な瞳は私を捕らえたまま
大好きだったはずの私に名前をくれた人。
「 黒兎さん。」
「昔みたいにお兄さん、とは呼んでくれないんだね。ありす。」
わざとらしく寂しそうな表情で私から視線を外す。
けれど口元は緩んでいて、「演技だよ。」と言っているようにしか見えなかった。
「嬉しいよ。ありす。僕の元へ戻ってきてくれたんだね。猫は優しくなかっただろう?猫は嘘吐きだからね。」
柔らかい笑みを浮かべながら、話す黒兎さんはとても喜びに溢れていて
私のことを本当に好きでいてくれている。と嫌なほど分かった。
それが 私 なのか アリス なのかは分からなかったけれど。
「猫には罰を与えたよ。僕のありすを嵌めた罰だ。
ゲームは正当に行わなければいけなかったのに
あいつはズルをしたからね。」

