「駄目っ…───!!!!」
バシャッ
無意識に水面を弾き、影を消した。
揺れていた影は水に溶け、消える。
「影を消しても僕は消えないよ。」
楽しげな声は尚も響き渡る。
「嫌。思い出したくない。私は…あの国へ帰る為に来たの。あなたに会いに来たわけじゃないわ。」
バシャ バシャッ
勢いよく走り出すも、赤い水はドロドロとしていて私の足を絡み取る。
「僕から逃げたり出来ないよ。」
ゆらゆらと影は私を追いかける。
水面に浮かび上がる見覚えのある姿から必死に目を背けていた。
「僕のありす。そんなに必死になって…君の望みはもう叶っているだろう?」
前を見ると、恋しかったあの国があった。
後ろを振り向くと、何もなかった。ただ、海が静かにさざ波を立てているだけ。
「また会えたね。僕のありす。」

