─ Alice ?─




「ごめんなさい。…ごめんなさい。」


無意識に零れ落ちた言葉。

何に対して謝罪しているのかすら分からなかった。


「ごめんなさい…。ごめんなさ……ぁ。」



花弁がまた一枚、散る。


散るたびに遠くなる双子の声。



「謝らないで。お姉さんは悪くないから。」

「僕らは幸せだったから。守れなくてごめんね。」



「「ありがとう。アリスお姉さん。」」




──っ

優しい言葉。涙は自然に零れ落ちた。


ごめんね。ごめんなさい。


いつか、必ず思い出すから…



散りゆく薔薇を眺めながら、涙をただ、ただ、流すことしかできなかった。




まだまだ未熟な薄紅の薔薇。


赤く染まることもない。


優しい双子は染まることを望まなかったのだろうか。




残酷な血を流すことを望まなかったのだろうか。



残酷で美しい 【 紅 】を。




「───リ ス 。 アリス 」


遠くでチェシャ猫が呼んでいる。

なんとなく、この薔薇を見せたくなくて


「こっちだよ。」とは言わずに


「そっちに行くよ。」と言った。