「キング…久しぶり。」
時間はそんなに経っていないはずなのに
もう何年も会っていなかったように感じた。
「アリス。君はチェシャ猫を選んだ。君はチェシャ猫を愛した。
―――【導き】のチェシャ猫を。」
何が言いたいのか分からなかった。
「…アリス。俺の言った言葉、覚えているか?」
キングの言葉…―――――」?
「必要としている力のある奴を選べ。俺はアリスにそう言ったはずだ。
【 導き 】のチェシャ猫
【 空間 】のシロウサギ
【 誘惑 】の帽子屋
【 制圧 】の俺、キング。」
他にも役持ちは沢山いるが、特にこいつらの説明は詳しくしたはずだ。
だがアリス、お前はチェシャ猫を選んだ。
この国を救いたいと願い、この国に居続けると言ったお前は【 導き 】を選んだ…――――」
そこまで言われてやっと気づいた。
私はチェシャ猫を選んでしまった。
元の世界へ戻りたいなら選べ、と言われた【 導き 】の力を選んでしまった。

