「ありすの為に、生きている?」
キョトンとしたような顔で、黒兎さんを見つめる幼い私は、まだまだ無知な子供だった。
『そうだよありす。僕は君をありすと名付け、此処へ連れてきた。
君と僕は離れられないんだ。
元の世界へ戻ったら、記憶を全て無くすだろうけど、感情だけは忘れないで。
君が僕に抱いた感情を。
そして他の奴らには決して抱いてはいけないよ?
君は僕だけのありすなのだから。』
そう。私はありす。
親に捨てられ、孤独な名も無き人間だった。
名前を貰ったあの日から、私は黒兎さんから離れられない。
黒兎さんに抱いた感情を消し去ることが出来ない。
黒兎さん以外を選ぶことなんて、出来ないんだよ。