分かっていたはずなのに。
私を、ありすを好きなわけじゃない。
『アリス』が好きなだけなのに。
チェシャ猫だけじゃない。他の住人だって、皆そうなのに。
分かっているのにどうして
こんなに胸が苦しいんだろう。
「ちぇしゃ…ちぇしゃはありすのこと好きって、好きだって…言って、言ってくれたっ…のにぃ…!!!な、んでっ…なんでそんなこと…」
ポロポロと涙を流しながら訴えかけるありすをただ無表情で見つめるチェシャ猫はとても冷たくて、怖くて
大嫌いだった。
「勘違いするなよありす。俺が好きなのは『アリス』であって、お前じゃない。好かれたいのならアリスになりきらなければ駄目なんだ。」
『君はただの人間。ありす。
さあ、選択権を与えよう。
ここに残り、ありすのまま皆に好かれることなく生涯を遂げるか
一度帰り、『アリス』となった時にまた戻ってくるか――』
ありすは後方を選択した。
迷いもなく、ただ皆に愛されたいが為に。

