『ね、アリス。わかったでしょ? この世界には君の欲しいものなんてないんだよ? 君はこの世界を自ら否定していたんだ。 ──だから僕が現れた。 僕は、黒兎はね、君が望んだから現れたんだよ。ありす。』 優しい、笑顔だった。 優しい、声だった。 優しく抱き締め、優しく頬にキスしてくれた。 今、目の前にいるのはありすの大好きな黒兎お兄さん。 狂ったように人を傷つけ、殺してしまう黒兎さんの面影なんてない この時の私はそう勘違いしていた。