ドクン ドクン
『また僕を騙すつもりなの?チェシャ猫。いい加減にしなよ。』
口ではこうは言うものの
心臓は荒れ狂っていた。
『僕は黒兎。【抑制】の役を持ち合わせた不思議の国の住人…
狂わせた覚えはあるけれど狂った覚えは一切ないよ。』
にこり、とチェシャ猫に微笑んだが、一切表情を変えず、只僕のことを見つめていた。
狂いに呑まれそうなのを必死に堪え、僕に言葉を掛ける。
「抑制能力、は…お前にしか備わってい、ない…
では、何故、お前が檻か…ら出て、イるのに…皆、アリスを求め狂って、いる…
お前だって気づい、てイるのだろ?
自分にはもう───。」
なんだ、そんなことか。
心配して損したよ。
『チェシャ猫、僕のことは気にしなくていいよ。おやすみ。』
色 が 舞い散る。
オレンジ ピンク ホワイト 【紅】。
秋桜は無惨にも切りとられ、優雅に空間を舞い散る。
美しく紅を纏いながら。
秋桜は優雅に舞う。
『猫は何でも知っている、か。』

