「ごめんなさい…ごめんなさい黒兎お兄さんごめんなさいごめんなさ…っ」




気が付けば私は必死に謝っていた。黒兎さんに必死に謝っていた。


そして夢から覚めていた。




目の前には心配そうなスペードさんと眉間にしわを寄せたクローバーさんがいた。





「…お帰りなさい、アリス。記憶の欠片、いかがでしたか?」



スペードさんやクローバーさんは私に記憶を見せてくれた。

しかし二人とも、私が何の記憶を見たのかわかっていないのだろう。



「私が、悪いんです。」



そう。私が悪いの。



ありすは浮かれすぎていたのよ。

皆に愛され、求められ、
自分が何よりも一番だったことに甘えていたのよ。



だから気づかなかった。




そこから憎しみが生まれていたなんて。




愛しさから憎しみが生まれるなんて。





ありすは気づくはずがなかったの。



ねえ、神様。


お仕置きはもう沢山よ。





「もう、わからないわよ…」




頭の中には記憶が混ざりあっていて


心は苦しさで溢れているの。




何を信じれば私は救われる?




「アリス、自分を認識しなさい。
記憶に呑まれてはいけません。」