「森に、呑まれる…?


「貴女自体が記憶の塊と化してしまうのです。

今、私と話していることも記憶になり、アリスという人物は排除される。」



嫌ですよね、と苦笑いするクローバーさんはとても優しい顔で


私の蟠り(ワダカマリ)を吸い取ってくれているようだった。



そんな私たちの様子をつまらなさそうに見つめているリーフ君のことなんて気にならないくらい。



「クローバーさんは不思議。

嫌なこと、全部吸い取ってくれているみたいだわ。」


何気なく言った私の言葉に、
クローバーさんは頬を赤くする。


「い、いえ…そんな…べ、別に…」




先程までの大人な彼はいづこ。
目の前で挙動不審に陥っていた。


クローバーさんって意外に照れ屋さん?


「アリス!!!
クローバーにそういう態度とらないでよ!!どうせ黒兎がいたら黒兎のとこに行くくせにさ!」




間に入るように凄い勢いで私を責め出すリーフ君。


嗚呼、こんな可愛い子どもに睨まれるほど辛いことはないわ…


「り、リーフ!落ち着きなさいっ…あ、ああアリスはべ、別に何も…っ」



とりあえず、君が落ち着こうか。