それからは 覚えていない。 視界を遮られていた為 シロウサギさんの表情も わからなかった。 ただ、 意識を手放す瞬間 たしかに 聞こえたのだ。 消え入りそうな か細い声で ──助 け て 。 と。 優しく触れるだけの キスを落とし シロウサギさんは 消えた。 真っ赤な薔薇を 一輪、 私に咲かせて。