門の中は薔薇の
トンネルの様だった。
だが白ではなく
全て淡い桃色。
「綺麗…それに甘い匂い。」
蜜のような甘い匂いに
鼻腔を擽られる。
中を進めど進めど
風景は変わらない。
変わったことといえば
「なんか…赤っぽい?」
薔薇の色が
赤に近づいていた。
奥に目をやると
赤い薔薇が見える。
赤、よりも《 紅 》。
帽子屋屋敷に
あったような鮮やかな。
そしてどこか
シロウサギを思わせる。
「……《 紅 》い薔薇。」
そう呟いた瞬間だった。
ガクン
足の力が抜け
体が前へ崩れる。
倒れる!!
そう思い目を瞑ると
ふわっと優しい
感触に受け止められた。
耳元で囁かれる
あの、 甘い 声。
甘い 蜜 の 香り の
シロ の 人物。
甘い 甘い 罠を
仕掛ける
『お待ちして
おりました。
私 の ア リ ス 。』

