一時期は兵士だった事があるものの自分には合わないと止めてしまい、近衛隊長にまで上り詰めた友の勇姿を誇らしく思っていた。
本来ならベリルを応援しなければならない立場なのだが、初めて見る友の姿に歯がゆさが募る。
「奴の動きに惑わされている」
リュートは表情を苦くした。
無駄が無いように見えて、誤った方向に誘導する動きを瞬時に挟み込んでいる。それに気付けば、多少なりとも対策は立てやすい。
とはいえ俺でもその誘導、全てに対応出来るかあやしいものだが。
無意識に反応する己の動きを律するのは難しい。あいつは、相手がどう訓練してきたかを瞬時に推測し、それによって培われてきたものと従来、人が持つ条件反射を誘発する動きをする。
忌々しいが──
「やはり、強い」
あの有翼人がどれほどの強さなのかは解らんが、あいつの動きを切り返せるのか。