「治癒が必要と判断した場合はそれを求めるが完治の方向で考えなくて良い」

 痛みで判断力を鈍らせている時間はない。判断を鈍らせない段階まで回復できればそれで構わない。

 もっとも、それなら自身の治癒力でどうにかなりそうではある。

 問題はリュートだ。彼が怪我をして動けなくなれば、たちまちこちらが不利になるだろう。ティリスの治癒魔法が不可欠となる。

「もし、どちらの頭にも主導権があった場合はどうするんだ」

「同時に攻撃をしかける」

 頭は二つだが体は一つなのだ。奴が出来る攻撃は限られている。両方に主導権があれば、それだけボナパスの動きに隙が出来る。

「ならば、個々の攻撃で充分に勝てるだろう」

 私の思い違いでなければ、お前はそれが可能となるだけの闘いをしてきたと考えている。

 もっとも、奴の特殊攻撃が炎だけならだが。他にもあるなら一旦、退くことも考えている。

 作戦はあくまでも想定される模擬的なものだ。目の前で起こる想定外の事態をいかに上手く対処していくか。そのためのものに過ぎない。