さして興味のない谷間からすり抜けて和奏を追った


後ろで鈴村がなにか言ってるが聞こえない

どうせ「待って下さいよ~」って猫なで声だろうから


ホームの階段を下りると和奏が立ってぼんやりとしていた


遠い目をしていてよくないことを考えてるような目

鈴村とのことを気にしてるのか?

嫉妬?なら嬉しいんだけど



俺はゆっくりと和奏の後ろに立った


すると足音に肩を震わせる和奏



「俺だよ」


俺の声が聞こえたのか、「お、驚かせないで…」って振り返らずに言ってくる


「隣立っても良い?」


「えっ…?」


「和奏の隣がいい」