side.wakana
う、そ、だよね?
「……ホント…?」
自分でもどれだけ声を出ているのかわからない
でも絶対に震えているのはわかる
「嘘なんかつかない、俺は和奏がすきだ」
あたしを包んでいる先生の腕はとても温かくて、『あの時』のことなんてちっとも思い出さなくて、むしろ先生があたしの頭の中をジャックしていた
全然イヤじゃない
イヤじゃないのに…
「っ!!」
先生が慌ててあたしの両肩を押してきた
先生は頭を下に下げてあたしを見てくれない
後悔してる?
また…どこかにいっちゃうの?
そんなの
「ぃや…」
あたしは先生の顔を覗きこむように前に体を傾けて、先生の手の上に手を重ねた

