「和奏、聞いてくれ」

「ふ、奮発したんだよ!わ、和牛だよ~」

「和奏!」


先生の咎めるような、イライラしたような声音にびきりと肩が震えた


「…後で…ご飯食べてから…」


怖かった

だから少しでも先生といられるように、最後の晩餐と言うべき夕食をした後で話をしたかった


それはあたしのワガママだけど…


「…わかった……、今日はすき焼きかい?」

「う、うん」


先生はあたしのワガママを聞いてくれて、しかも優しい笑顔をあたしに向けてくれた