あたしとうとう幻覚まで見だしたの?

だって…

あたしが見えている人は、今、ここにはいない人のはず


なのに…


「和奏っ……」


あたしを包む温かい腕がほんわりと心まで温かく染み込んでいく


あぁ…あたし…全然イヤじゃない…


あたしもそれに応えたくて、買い物袋を手から離して背中に回した

でも…


「っ!……ごっ…ごめんっ…」


「あ……」

あたしから離れた温かい腕


あたしはなぜ離れてしまったかわからなくて、幻覚をじっと見つめた



そこでわかった、幻覚じゃないって


「……先生…?」