実春は「痛ェ〜…」と呟きながら体を起こした。
よく見ると涙目になっている。


「コラッ!おい!柚!!てめぇ、痛ェッんだっつの!」


頭をさすりながら思いッきり怒鳴る実春。
それと同時に柚を睨みつける。


「今、バコンッ、って鳴ったぜ!?何で殴るんだよ!殴る意味が分かんねぇよ!」


「目障りだったからに決まってんでしょ。何なら、もう1回聞いてみる?」


と、柚の手には今しがた授業で使われていた分厚い教科書が…


それを見て実春の顔色が徐々に青くなる。


「お、おお前…!それは無いだろ…!…オレ、頭悪くなっちゃうよ!」


怯える目で柚と教科書を見比べる。

しかも、ゆっくりと後ずさりをしている…。



「あら、それは嬉しいね!

あんたが10位以内から姿を消すのが見られるなら、いくらでも殴ってあげるわ!」


柚は不適な笑顔を浮かべながら、もう一度教科書を振り上げる。