君のそばに


「本当、可愛いネ〜!沙矢は。」


実春が私のほっぺをペチペチと叩きながら楽しそうに言った。


「例え話だから。ねぇ?聞こえてる?」


柚は私の目の前で手をパタパタと上下させた。




しかし、私の耳は何も受け付けない。



「ダ〜メだ、こりゃ。」

と、柚は苦笑いした。


「じゃ、どうする?」

実春が真っ赤になったままの私を見ながら言った。



「あ〜、私今日早く帰らなきゃいけないから、沙矢が元に戻るまで残っててくれないかな?
千春くん。」


「…!」


嘉賀くんは少し目を見開いた。
驚いているようだ。


「え〜〜!?何でオレじゃなくて、千春なわけ〜!?」


実春は口を尖らせて言った。

それに対し、柚はあらかじめ用意された台詞を言うように、サラッと言った。


「アンタは変態だからっ!」


「………。」


柚の返事に実春は言葉が出ない。結構ショックを受けているみたいだ。


そして柚は、実春が尖らせた口をキモイ、と言いながら左右に引っ張る。