君のそばに



明日の準備をやっとのことで終わらせた頃には、外は薄暗い闇に包まれ始めていた。



みんな、明日が本番だよ。

って言いたくなるほど、皆疲れた顔をしていた。




そりゃそうだよね。
丸2日、準備の時間を与えられていたとはいえ、ほとんど休みなしに動き回れば、さすがに若い人でも疲れる。



年老いた教師たちは自分たちの業務が終わるとさっさと帰宅。

少しは生徒を気遣ってくれてもいいのに。




「沙矢、オレたちもそろそろ帰らねえ?」

上半身Tシャツに下が制服姿の実春が”疲れた〜”と呟きながら伸びをした。



「そうだね。でもちょっとだけ待っててくれる?

美術室に展示室の受付時間の役割表が置いてあるんだって。

それだけ取って来てもいい?」


「ああ。オレも一緒に行くよ。」


実春はそう言うなり隅に置いてあったYシャツと鞄を脇に抱える。



「んじゃ、お疲れ〜!」

と、部屋に残るクラスメイトに声をかけると、皆も同じ言葉で返事をする。







美術室に向かう廊下は暗闇に包まれていたが、準備をしているクラスから漏れる光が何だか温かかった。



他のクラスの人も頑張ってるんだ。


と思う半面、

自分たちの方が先に帰ろうとしているため、他の残っている生徒に悪い気がした。