君のそばに



「そういうアンタは部活で何をやるのよ?」


「ん、私?」

いきなり私に話が振られ少し驚いた。



「また絵でもやるの?部員全員で。」


「ううん、今回は個人で出展するの。テーマが決められてるんだけど、テーマから外れなければどんな作品でもいいんだって。

私はやっぱり絵にしたよ。」


「ふぅん。で、何描くの?」


「秘密!まぁ、文化祭の時まで楽しみにしててよ!」

…な〜んて偉そうに言ったものの、まだ下書きだったりするんだよね…。


あらら、柚が口をへの字に曲げて(実際、への字に曲がってるわけではないんだけど…)そっぽ向いちゃった。

これが柚の可愛い所だったりする。




それにしても早く下絵を完成させないと、時間がないよ!

私ぐらいじゃない?まだ下書きやってる人は。


ていうか、今になって焦ってきた!




…あの時のことをやっぱり思い出してしまうけど、
悠長に悩んでる場合じゃないよね!



部長は私ならどうにかなる、とでも思ってるのだろう。何も言ってこないし、皐月と嘉賀くんトークしてたし。


いくら期待の星と呼ばれる私でもね(主に呼んでるのは武藤部長)、超人じゃないんだからね!

そんなすぐにパッと作品を仕上げられるわけない。




でもそれだけ一目置かれてるのも事実だし、部の評価を落とさないように頭を切り替えないと!






そうだよ。


絵が完成したら思いっきり悩み苦しめばいいんだ。




それまでは嘉賀くんたちのことは忘れよう。