「おい、柚。そろそろいいんじゃないか?」
「…そうだね……。」
柚は実春の言葉につり上がった目元を緩ませた。
……え……?
そろそろいいんじゃない、って何が……?
私には何が何だかさっぱり分からない。
実春が苦笑いを浮かべながら私の方に向き直った。
「あのさ、沙矢。実をいうと柚は沙矢のことをからかってたんだ。」
…はい…?
からかう…?
「アハハ!そういうこと!
沙矢の困る顔がみたくて〜」
困惑する私に向かって大口で笑いながら柚が言った。
「えっ!?…じゃあ、私は柚にからかわれていたってこと!?ずっと!?」
「だからそう言ってんじゃん。」
と、柚が開き直りながら言った。
「ひっど〜い!私がどれだけ悩んでたと思ってんの?」
「はいはい、ごめんなさいってば。沙矢の困った顔が見たかっただけだから。
あ〜すっきりした〜!」
柚はそう言うなり何事もなかったように、またソファに座ってテレビをつけた。
………。
…ちょっと!それだけですかい…!
柚はすっきりしただろうけど、私のこの怒りは一体どうしたらいいわけ!?
今回ばかりは本当に許せない。
…なんて思ってたのに、柚がこんな調子だから
怒りが冷めちゃったよ…全く…。
私はとても深いため息をついた。
「…でも良かったじゃん…。」
「え…?」
右上からボソッと声がして振り向くと、実春がニヤリと笑っていた。
「本当に怒ってなくてさ。」
「…ん〜…そうだけど…。」
「怒る気持ちは分かるよ、本当。でも、ま、いいじゃん。仲直り出来てさ!」
実春はそう言うと、私の頭をグシャグシャと撫でつけた。
…確かに…。
あのままの状態が続かなくて良かったよ。
それに柚は元々ああいう性格なんだから、過ぎたことをグチグチいうのも疲れるし…。
何かまだ納得出来ないけど、
まぁ、とりあえず良かったのかな…。


