「…痛ッ!」 柚の瞳の色が変わった。 …それを見て、実春の肩が一瞬ビクッとしたのがわかった。 私は、 あーあ…馬鹿な事したな… と、実春を哀れむように見た。 「へぇ〜…あんた、女に手あげる奴だったんだ〜! しかも、さっき私の事をアホ呼ばわりしたよねー? あんたにだけは絶対言われたくなかったんだけどな〜…!」 柚は瞳を見開いて、手に持つ分厚い教科書を強く握りしめた。 教科書がミシミシと音を立てている。