君のそばに

「ん?ああ、いるけど!お前が何の用があるんだよ!」



「いいから、呼んでくれ。」



「へいへい!

沙矢ーッちょっと来てー!」



実春は少し不服そうに私の方を見て言った。




な、なな何…!?

私、何かしたっけ…ッ!?




自分の胸に手を当てて考えてみるも何も思い当たらない。


それも、そのはず…

私は初対面の人にはかなりの人見知りで、柚や実春と親しくなるのでも、かなりの時間がかかった。



それに親しい友人と呼べる人は数えるくらいしかいない。



だから、見ず知らずのコノ人物に

何故、自分の名が呼ばれてるのかわからない。


というか、何で私の名前を知っているの……?





「おっとー?呼び出しがかかったよ、沙矢!」


不審に思っている私に対して、柚はニヤニヤしながら肘で小突く。


柚のこの目…
絶対に楽しんでいる目だ…。



「ど、どうしよう…!…わた、私、何かしたの…?
知らない人が私の名前を呼んでるよ…!?」




「いや、知らないから!

早くおいで!ついてってあげるから!」



と、パニックになっている私の腕を掴みながらズルズルと引っ張っていく柚。





さすが…弓道部!力が強すぎる…!

ていうか、これはついていくと言うよりは…


連れていくの間違いだよね……?柚さん……






とか何とか思っていた、私は

既に彼の目の前にいた。