「じゃあ由衣、明日は絶対に学校、来てくれるよね?」


私の部屋を出る前に、明奈が真剣な顔になった。


「うん。もう逃げない」


私も明奈の目を見つめ返した。


「明日は校長会のある日だから、談話室は使えないね。鳴沢先生はきっと進路指導室を使おうとすると思うよ」


校長会は月に一度、私学間の情報交換を目的として、10校ほどの校長が集まって行われる。


各校の会議室を持ち回りで提供していて、今月は英倫女子の番らしい。


もともと礼儀作法の厳しさには定評のある学校だが、校長会の前には必ず服装や髪型の検査がある。


「私、進路指導室の前で由衣が出てくるの待ってるから。何かあったら助けに行くから。絶対に学校に来て。絶対に辞めないで」


明奈が泣き出しそうな顔になった。


「わかってる。絶対、辞めたりしない」


私は自分自身にもそう言い聞かせた。