「ねぇねぇ、この時間だと象に餌とかあげれるみたいだよ? 象舎の方、行ってみようよ!」


明奈に腕を引かれた。


象……。


気乗りがしない。


それでも引っ張られるままに、グラウンドの奥にある建物へ入った。


中はガラス張りの観覧コーナー。


明奈が象を間近に見て
「でかっ」
と声を上げた。


肩までの高さも、頭からお尻までの長さも、大人の身長の二倍近い大きさ。


圧倒される。


階段を数段おりた場所に『ふれあいスペース』とかかれた場所がある。


柵の向こうから、象が伸ばしてくる鼻に触れたり、餌を与えたりできるらしい。


そこに向かって幼稚園児らしき子供たちの列ができていた。


あの飼育員は象から離れた場所で竹ぼうきを動かしている。


相変わらず、象には無関心という感じだ。


やがて、ぽっちゃりしたおじさんの飼育員がふれあいスペースに現れた。


「は〜い! ゾウさんにゴハンをあげたい子は誰かな〜?」


おじさんはテンション高く子供たちの好奇心を盛り上げている。


「はいっ! はいっ!」


明奈が私の手をつかみ、自分の手と一緒に持ち上げた。


ま、まじで?