◆花梨side◆







「お久しぶりです」


あたしはゆっくり頭を下げる。


琴音さんは、まるであの日から変わらないお人形さんのような微笑を向けた。だけど、少し、その表情が切なそうに見えたのは、あたしがあなたの感情を知ったからなのか。



こうして、前に立つなんて、残酷だ。



「そちらは惣本恭平さんですね、初めまして。私恐縮ながらお写真拝見させて頂いた事があります」



よぎった後悔を振り切るようにあたしは彼女の手を自然にスイと取る仕草、隣にいるのが違和感ない綺麗な顔をしたその人に再び頭を下げた。