◇琴音side◇ 「…琴音ちゃん♪」 テラスに出て、流れるゆったりとした景色に身を委ねたまま、本を読むあたしの背中に声をかけたのは、 「…恭平さん」 あの日の彼の言葉から数日恭平さんは海外に行っていたみたいでその姿を見るのは久しぶり。 日を背にする長身のその姿は眩しくて、少し痩せたかしら、とぼんやり思う。 「会いたかった」 そう目を細めた恭平さんの声の優しさと、包むような笑顔に少し動揺したのは事実。