嘘つき⑤【-sign-】


意識が、感情の及ばない所で遠い。


何を


何を言っているの?



あなたがその想いを伝えるのは彼女でしょう?







「君が好きだ」





振り返られない。




視界が霞む、



恭平さんが、まばたきもせず、そんな私を見つめて、





「…本当、ずるい奴」





恭平さんが少し呆れたようにように呟いた。
そして立ち尽くしたままの私に、絡めていた腕を、ゆっくり解いて、その指先が私の目元を拭う。