何も出来ない『お嬢様』の自分に甘えていたのは確かなのだと思い知らされる度に、痛い程歯痒い。


それを求めていたのは私なのか周囲なのか。


「…弱くていい」


恭平さんの低い声に私はそっと顔を上げた。


「ずるくていい。臆病でも、強がりでも」



やっぱりその瞳は力強くて、なのに切ない色に引き込まれそうになる。緩いフワリとした髪が風に揺れるのに、私はただ目を奪われた。



どうしてかしら、



「それ全部琴音ちゃんでいいから」



この人は、ほら



「俺が見てるから」



私が欲しい言葉をいつもくれる。