部長は軽くため息をついた。


「…本当に、君は、」


スッと目が細まって微かに表情が緩んだのは一瞬。


「関係ない、と言えばそれで納得してくれないか。聞いてどうする?いや、どうしたいんだ?」


淡々と吐く口調。あたしは勢いのままに続ける言葉が消えていくのを感じて泣きそうになる。


「…あたしが、」


あたしとの関係がリスクになっていたとしたら、それで部長を追い詰めたとしたら、だって、そんなの、


「ご…めんなさい」


震えた声に部長は僅かに眉を上げた。


「謝るな。否定してくれるな。」


声が優しい響きを含んで、部長が僅かに笑ったのが分かる。あたしの頭をポンポンと撫でた手が優しくて。もう、なんで、この人は。その目に宿る感情に気づきたくない。もっと溺れていたかった。
こうなれば引かないのは、彼の方だ。



「君が知る必要はない」


部長は落ち着き払って、優しく突き放した。