「部長!!」
何度この人の背中を見つめただろう。触れても、尚突き放す部長のカケラにでもあたしはすがりつきたかった。
「…冴木」
あたしの名を呼ぶ低い部長の声が好きだった。だけど、今その声は僅かに困惑を含む。
「説明、して下さい」
分からない事が多すぎるから。
部長はその切れ長の淡い瞳をレンズから覗かせて、口元を少しだけ緩めた。
「君には関係ない」
冷たい声。だけど、そんなの怖くない。
「関係なくないです。あたしが原因でしょう?」
「自惚れるな。関係ないと言ってるだろ」
切れ長の瞳は無感情で、何も読み取れなくて、怖い。だけど、
「あります!!」
怯まない。怯めない。
琴音さんの泣きそうで、綺麗な微笑があたしの背中を押す。
この冷たい瞳に負けたりなんか出来ない。

