◇琴音side◇ 春の穏やかな季節は過ぎて、梅雨の静かな日はゆっくりと、そして夏の暑さが本格的になる頃、私は麗子叔母様の家へ向かった。 「あらー!!琴ちゃん、いらっしゃい!!嬉しいわー」 麗子さんは快活な笑みを花が咲く様に向けてあたしを出迎えてくれる。 それは普遍的で、当たり前の様に包んでくれる優しさ。 「ケーキを焼きましたの。ご一緒に頂きたくて」 私のどもる様な言葉に麗子さんは綺麗な二重瞼を婉曲に曲げて、また嬉しそうに微笑んだ。