二人が寄り添う、只それだけの光景にドクリと心臓が音を立てる。締め付けられる胸が苦しくて逃げ出したい。

毅然としていたいと願う感情なんてすぐに崩れそうな程、脆いのに。

愁哉さんに関わらなければ、私は穏やかに過ごせるのかしら。それは、『逃げる』という事?それともこの状況を『受け入れる』という事なのか。

「ええ、それは分かったけど、彼女があなたの次のお相手?」

美弥子さんのオブラートに包まないストレートな言い方が怯む事無く愁哉さんへと向けられる。


――どちらにしても、


ただひとつ分かるのは、投げ出したい感情程厄介なものは無いということ。