◆花梨side◆





琴音さんと天童さんにあたし。

絡まり合う事のなかった人生の歯車が複雑に絡まりながら動き出す。

その中心にいる人物は、間違いなく唯一人――



こんなに感情を惑わす人物をあたしは知らない。あの冷たい瞳がどれだけあたし達を熱くさせるかなんてあの人は気づいていないんだろう。


触れられたなら良かった。もっと、もっと、奥まで、深く。




「惣本さんといらっしゃったのね、このような場には惣本さんは中々姿を現わさない事で有名ですのに。羨ましいですわ」


天童さんは、冷ややかに笑いながら、いつか見たあの勝ち誇った笑みを琴音さんに向けた。