海宝堂2〜魔女の館〜

「こんにちは。おばちゃん。」

「いらっしゃい。
おや?あんた達、見ない顔だねぇ?旅の人かい?
…ひょっとしてさっきの男達が探してた…?でも、黒い髪の女の子って言ってたし…」

ニーナは一つの露店に顔を突っ込んだ。
綺麗な糸で編み上げた、手作りの腕輪や首飾りが並ぶその店のドーザは、ニーナとシーファの顔を交互にまじまじと見ながら呟いた。
男達もここに来ていたらしい。というか、片っ端から聞いて回っているようだ。

「旅の途中なの。誰かを探してる男の人達なら私達も見たわよ?何度も横を通って…すごく必死に探してた。」

「そうなのよー、必死すぎて早口で説明するもんだから、最初は全く意味が分からなくて困ったのよ。」

ニーナは見事に自分達が目当ての人物では無いということをアピールしてみせた。
すっかり安心して話し始めるドーザ。
しかし、ドーザも言うように、男達の必死さは尋常ではなくて、このまま全く取りとめも無い話しを聞いている時間は無さそうだ。